く ち な し―身代わりの恋
「いいの?」

少し驚いた顔をした大橋は、時計を見て、

「じゃあ、貴女が行きたい所に行こう」

と一番困る事を言ってきた。

「私の?」

「そう」

改めて聞かれると思い付かない。
人目もあるし、そんなにアクティブに遊び回る方でもなかったから。

「貴女の旦那さんだと思って、考えていいよ」

旦那。
祐介の事なんて考えたくない。

フッと笑った大橋は、

「じゃなくても、かつての恋人でもいい」

返す前にそう付け加えた。
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