く ち な し―身代わりの恋
ゾクッときて、

「止めてください!」

思わずテーブルの布巾を掴み投げた。

お茶を含んだそれは、重たい音を立てて服部さんの頬を濡らす。
服部さんは目を丸くし顔を袖で拭った。

「主人は、私や父の意見なんて聞き入れませんから!」

夫から愛されてない事を他人に見透かされて、私も冷静さを失いつつあった。

「帰ってください。これ以上ここに居るのなら警察に行きますよ」

それでも、眉間に険を表した服部さんは動かずに私を睨んでいた。

「どうぞ、お引き取りくたさい」

強く言って、濡れた布巾を掴み立ち上がった時だった。

「調子に乗るな! 世間知らずのババァが!」

いきなり背後から首を絞められた。
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