く ち な し―身代わりの恋
そこからの羽交い締め。

「やめっ……」

悲鳴を上げようとしたら、そのまま横に倒された。
何かにとりつかれた様な顔をした服部さんが、私の上に馬乗りになる。
あまりの怖さに金縛りにあったみたいに声を失った。

「あんたが銀行の窓口に居る時から気に食わなかった。借り入れに行った時、俺達を汚い物でも見るような目をしてた」

……――記憶にない。

でも。
元々、冷たく見える上に表情が堅いと行員時代に良く注意されていた。
こんな私が政治家の妻なんて無理だったのかもしれない。

だから、浮気をされるー―
そのうえこんな目に遭う。
押さえつける服部さんの手を払おうと必死にもがくも、びくとも動かない。

「……退いてください、本当にけ…」

″ 警察を呼ぶ″

全部言う前に頬を叩かれた。
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