く ち な し―身代わりの恋
「で。もしかしたら。夜に会えないかと思ってた」

「……え」

「客の家へ納車ついでに梓の家の前を通ったら、トラックが止まってたから気になって」

言ってる事がまるでストーカーだ。
だけど。
大橋が訪ねて来なかったら、私は、今頃、あの服部と―ー…。

嫌悪と吐き気。
そして甦る恐怖。
足から力が抜けて、その場にしゃがみこんだ。

「何があった?」

大橋は私を抱き起こし、頬を見て少しだけ顔色を変えた。

「叩かれたのか」

まだ熱いそこを冷たい手で触れる。
全てを察したかのように、そっと抱き締めてきた。
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