く ち な し―身代わりの恋
傷付いたのは、心だったー―

「どうして、他人の妻にそんな事が言えるの?」

″綺麗″ だとか、″好き″だとか、″心配″だとか。

「もう、奥さんの事は愛してないの?」

ずっと一緒にいる女には、恋愛感情は抱かなくなるの?
それとも、結婚する相手には、元々、違うものを求めてるの?
続けざまの私の質問に、大橋は困惑の色を隠せずにいる。

「俺と、梓の旦那は違うよ」

どれの答えとも言い難い返事をして、私を抱き締めた。

「俺は、一人の女しか好きにならない」


″一人の ″

それって。

奥さんの事?
それとも私の事?

私の視線を交わすかのように大橋は唇を合わせてきた。
少しだけ勢い余って、二人の体がカーペットの上に倒れる。
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