く ち な し―身代わりの恋
「かかりつけの病院はどこ?」

大橋の車に乗せて貰い、たまに行く内科へと向かうことに。

「……どうして、あそこにいたの?」

不自然な、重なる偶然に私は自然と眉をひそめて話す。

「言ったろ、活動報告見てるって。これは旦那じゃなくて梓がこなす予定だって分かった。俺のメール見てないだろ?」

私は、朦朧とする意識の中、スマホを取り出した。


【この前のお詫びをしたい】

【今日の試写会が終わったら少しだけでも会えないか】

【梓の顔を見たい】

私は目を閉じて、昨夜の夫との絡みを思い出した。

あの人に、大橋の気持ちの1/10でも愛情があったなら――。
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