く ち な し―身代わりの恋
大橋は私の手を引き、その古い家へ向かって行く。

表札を見たら、【雄飛】とあった。変わった苗字だ。
大橋の家ではない?
庭はかなり荒れ果て手入れされた様子はない。

「この家の主は、もう居ないんだ。一応身内になるから俺が管理してる」

「一応?」

遠い親戚が住んでいたのだろうか?
管理するのもお金がかかるだろうに。

「入って。ちゃんと風通しも布団干しもたまにしてる」

「うん」

私は、躊躇いがちにその家に足を踏み入れた。
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