振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。

『ほんと?』

「ほんと……」

『かわいい』

「っ、かわいくない!」

『かわいいよ』

さらっと言われて、心臓が止まりそうになる。

電話なのに、こんなに顔が熱くなるなんて。

『澪ちゃん、日曜日なんだけど』

「うん」

『映画でもいいし、カフェでもいいし。澪ちゃんが行きたいところに合わせたい』

「えっ、そんな……」

『無理に決めなくていいよ。会えるだけで嬉しいから』

その言葉に、胸がぎゅっとなる。

会えるだけで嬉しい。

そんなふうに言われたら、もう何も言えなくなる。

「……私も、会えるだけで嬉しい」

言った瞬間、電話の向こうが少しだけ静かになった。


< 147 / 352 >

この作品をシェア

pagetop