振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。
『ほんと?』
「ほんと……」
『かわいい』
「っ、かわいくない!」
『かわいいよ』
さらっと言われて、心臓が止まりそうになる。
電話なのに、こんなに顔が熱くなるなんて。
『澪ちゃん、日曜日なんだけど』
「うん」
『映画でもいいし、カフェでもいいし。澪ちゃんが行きたいところに合わせたい』
「えっ、そんな……」
『無理に決めなくていいよ。会えるだけで嬉しいから』
その言葉に、胸がぎゅっとなる。
会えるだけで嬉しい。
そんなふうに言われたら、もう何も言えなくなる。
「……私も、会えるだけで嬉しい」
言った瞬間、電話の向こうが少しだけ静かになった。