振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。
「……とりあえず、そろそろ家入ろ。」
「あ、はい。」
玄関先で抱きしめられたまま、ようやく我に返る。
光くんは名残惜しそうに腕を離し、私を家の中へ案内してくれた。
「お邪魔します……。」
少し緊張しながら靴を脱ぐ。
光くんの家。
初めて入る場所。
そういえば、男の人の家に入るのも初めてだ。
「澪ちゃん、こっち。」
光くんに案内されて部屋へ入る。
思っていたよりもすっきりしていて、机の上には教科書やノートがきれいに並んでいた。
「やっぱりちゃんとしてる……。」
「え?どういう意味?」
「光くんって、やっぱり完璧なんだなって思っただけです。」
「なにそれ〜。」
そう言いながら、光くんは楽しそうに笑う。