振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。

「……。」


「だめ?」


その聞き方が、あまりにもずるい。


「……だめじゃないです。」


そう答えると、光くんは子どもみたいに嬉しそうに笑った。

それから――

気づけば三十分。


私はベッドにもたれかかるように座り、光くんは後ろから私を抱きしめたまま。


一向に離れる気配がない。


「光くん。」


「んー?」


「もう三十分ですよ。」


「うん。」


「あの……横になってください。熱、上がっちゃいますよ。」


「うん、もうちょっとだけ。」


「……。」


「澪ちゃん、心臓の音聞こえる。」


「聞かないでください。」


「すごいドキドキしてる。」


「それはしますよ!ずっとこのままなんですから!」


「うんっ。」


耳元でくすっと笑われて、顔が一気に熱くなる。



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