春がつれてきたきみは・・・
そんなことで救われるならお安い御用・・と言いたいところだけど、そばにいるって!それは無理でしょ。

月夜川高校は隣県にある。
そこにいる人を救うためにそばにいるということは・・

『大丈夫。彼の家に下宿することになっている』

「ちょ、ちょっと待ってよ!わたし、地元の高校に進学が決まってるんだよ!』

『月夜川高校に剣道部の推薦で入学することになったよ』

「そんな勝手に・・しかも私の実力で月夜川高剣道部にスポ薦なんて無理に決まってるじゃん」

『そこは大丈夫。カナの試合のビデオや過去の実績を見てもらってギリOKってことになったから』
 
冗談じゃない!私はアキと同じ高校に進学して、身の丈に合った部活で普通に頑張ってそこそこの実績を残せればそれでいい。

天下を取るだとか全国を狙うとか、そんな大それたことは微塵も考えていないのに。

だいたい月夜川剣道部に私みたいな子が入部って、誰が見ても『裏口』だと思うに決まってる。

そりゃあ、本音を言えばちょっとは憧れる。なんたって天下の月夜川なんだから。

でも実力が備わっていないんだからもちろんレギュラーにはなれないだろうし、そもそもレギュラーを目指すなんておこがましい。

だったら稽古する意味がないじゃん。

どんなに頑張ったって上を目指せないならやる気なんて出ない。

「無理無理。ほんと、無理。しかもアキを裏切るなんてできない!」

すると父は少し黙った。

この頃、アキの話題を出すと父は黙る。

アキはとても良い子で私には勿体ないくらいの親友だから父も一目置いてるみたい。

そして私は最後の手段に出た。
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