過保護な偽装結婚 〜契約妻なのに推し副社長が甘すぎる〜
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 めまぐるしい一週間が過ぎた。

 突然の副社長就任挨拶に社内はざわつき、秘書となった七海の周囲もあわただしくなった。普段は話しかけてこない経理課の女子たちにつかまって、樹生の経歴を根掘り葉掘りと聞かされた。というのも、彼女たちはすでに彼の情報をいくつか入手していて、そのうわさ話の裏付けを取りにきたのだ。

 もちろん、秘書の立場として話すことは何もないと追い払ったのだが、この調子ではじきに大学の同期だということも知られてしまうかもしれない。

 それだけじゃなくて……結婚しているということも。

 週末は樹生の運転する車で実家を訪ねた。恋人のひとりもいなかった娘が、いきなり勤務する会社の御曹司と結婚すると言い出したのだから、両親の驚きは想定以上だった。しかし、とても光栄なことだと喜んでくれて、父はこころよく証人になってくれた。

 近いうちに離婚するなんて言い出したら、ショックを受けるだろうと思うと、胸が痛まないわけでもなかった。

 実家で昼食を振る舞ってもらったあと、樹生と一緒に区役所へ行き、婚姻届を提出した。対応してくれた職員に、おめでとうございます、と言われたけれど、あいまいな笑みを浮かべてしまった。職員が微妙な表情をしていたから、連日の寝不足で悲壮な顔をしていたのだろう。

 思っていたより、結婚って大変だ。寝不足で判断力を奪われていたとしか思えない。すでに、どうしてあっさり婚姻届にサインを書いてしまったのかと後悔している。

 いや、後悔……なのだろうか。
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