過保護な偽装結婚 〜契約妻なのに推し副社長が甘すぎる〜
「その、社長の息子っていうのが問題なんだろうな。前にも言ったように、両親は籍を入れてないから」
「樹生さんのお母さんは今、どうされてるの?」
樹生はちらりとこちらに向けた視線を手もとに落とす。
「大学に入る前に亡くなったよ」
「……そうだったの。私、知らなくて」
「俺も誰かに話したことないしな。……そんな顔するなよ」
七海は頬に手をあてた。どんな顔をしてるかわからないが、彼は誤解したかもしれない。
「同情してるとかじゃなくて……、私、樹生さんの苦労を何も知らなかったんだなって思って」
「苦労か……。母とふたりで暮らしてたマンションにも、父はよく来ていたし、ふたりが籍を入れてないこと以外は特に、どこにでもいる家族と変わらなかったよ」
「さみしいこともなかったんだね」
「両親の仲は良かったし、俺は幼い頃からよく祖父の家にも遊びに行ってたんだ。祖母は俺に厳しかったが、あからさまに煙たがられることもなかったしね」
「祖母っていうと……、友澤のり子取締役だよね。厳しいのはなんかわかる気がする」
のり子は上場企業の社長令嬢だと聞いたことがある。家柄やしつけに厳しくてもふしぎじゃない。
「最近はおとなしく別荘に引っ込んでるみたいだが、昔は友澤の経営にうるさく口を出してたらしい。そんな勝気な人だから、親父が母と結婚したいって言い出したときは大騒ぎしたらしいよ」
「だから、結婚しなかったの?」
「親父は、一度母とは別れて、祖母の決めた人と結婚したんだ。でも結局、彼女は親父と折り合わなくて、好きな男を作って出ていったらしい。それからまた両親は復縁して、俺が生まれたんだ」
「それで、そのまま籍を入れずにって感じに?」
「親父はずっと籍を入れたがってたけどね」
「樹生さんのお母さんは今、どうされてるの?」
樹生はちらりとこちらに向けた視線を手もとに落とす。
「大学に入る前に亡くなったよ」
「……そうだったの。私、知らなくて」
「俺も誰かに話したことないしな。……そんな顔するなよ」
七海は頬に手をあてた。どんな顔をしてるかわからないが、彼は誤解したかもしれない。
「同情してるとかじゃなくて……、私、樹生さんの苦労を何も知らなかったんだなって思って」
「苦労か……。母とふたりで暮らしてたマンションにも、父はよく来ていたし、ふたりが籍を入れてないこと以外は特に、どこにでもいる家族と変わらなかったよ」
「さみしいこともなかったんだね」
「両親の仲は良かったし、俺は幼い頃からよく祖父の家にも遊びに行ってたんだ。祖母は俺に厳しかったが、あからさまに煙たがられることもなかったしね」
「祖母っていうと……、友澤のり子取締役だよね。厳しいのはなんかわかる気がする」
のり子は上場企業の社長令嬢だと聞いたことがある。家柄やしつけに厳しくてもふしぎじゃない。
「最近はおとなしく別荘に引っ込んでるみたいだが、昔は友澤の経営にうるさく口を出してたらしい。そんな勝気な人だから、親父が母と結婚したいって言い出したときは大騒ぎしたらしいよ」
「だから、結婚しなかったの?」
「親父は、一度母とは別れて、祖母の決めた人と結婚したんだ。でも結局、彼女は親父と折り合わなくて、好きな男を作って出ていったらしい。それからまた両親は復縁して、俺が生まれたんだ」
「それで、そのまま籍を入れずにって感じに?」
「親父はずっと籍を入れたがってたけどね」