過保護な偽装結婚 〜契約妻なのに推し副社長が甘すぎる〜
樹生は小さく笑うと、冷めたコーヒーを飲み干した。
「七海の家族は、絵に描いたようなご家族で羨ましいよ」
「そうかなぁ。本当に平凡だから、羨むようなこともないと思うよ。だって、樹生さんも、ご両親にちゃんと愛されて育ったんだなってわかって安心しちゃった」
「大学のときから思ってたけど、七海は何も決めつけたりしないから、いい子だよな」
「いい……子?」
なんだろう。すごく子ども扱いされた気がする。
「怒った?」
「怒ってません」
「やっぱり怒ってる」
「違います。でもなんかちょっと納得っていうか……」
「どう納得したの?」
「樹生さんが私と結婚したわけです。私だったら、わがまま言わずにちゃんと別れてくれるって思ったんですよね? 樹生さんを好きな女の人はたくさんいるから、私じゃなくてもよかったんだし」
ぷいっと顔を背けたが、そんなしぐさすら、子どもっぽいだろう。対等になれない気がして、悲しくなってくる。彼は大きなものと戦おうとしてるのに、自分は思うようにならない恋愛感情を持て余してるだけなんて情けない。
「七海は七海だからだよ」
「そりゃあ、私は私ですっ」
かわいげのない態度も、全部本当の自分だ。それでも、樹生はあきれたりしないで、こんな姿を楽しむように見つめてくる。
「七海といると元気が出るよ」
「……本当?」
「うそを言ったことはないつもりだけどね。一緒に暮らせるの楽しみにしてるから、俺を信じて」
「何も、疑ってないよ」
ありのままを見せているのは自分だけじゃない。彼だってそう。時々、不安になることはあるけど、それは未来に対してだけで、彼と一緒にいる一瞬一瞬は、疑う余地のないぐらい幸せな時間だった。
「七海の家族は、絵に描いたようなご家族で羨ましいよ」
「そうかなぁ。本当に平凡だから、羨むようなこともないと思うよ。だって、樹生さんも、ご両親にちゃんと愛されて育ったんだなってわかって安心しちゃった」
「大学のときから思ってたけど、七海は何も決めつけたりしないから、いい子だよな」
「いい……子?」
なんだろう。すごく子ども扱いされた気がする。
「怒った?」
「怒ってません」
「やっぱり怒ってる」
「違います。でもなんかちょっと納得っていうか……」
「どう納得したの?」
「樹生さんが私と結婚したわけです。私だったら、わがまま言わずにちゃんと別れてくれるって思ったんですよね? 樹生さんを好きな女の人はたくさんいるから、私じゃなくてもよかったんだし」
ぷいっと顔を背けたが、そんなしぐさすら、子どもっぽいだろう。対等になれない気がして、悲しくなってくる。彼は大きなものと戦おうとしてるのに、自分は思うようにならない恋愛感情を持て余してるだけなんて情けない。
「七海は七海だからだよ」
「そりゃあ、私は私ですっ」
かわいげのない態度も、全部本当の自分だ。それでも、樹生はあきれたりしないで、こんな姿を楽しむように見つめてくる。
「七海といると元気が出るよ」
「……本当?」
「うそを言ったことはないつもりだけどね。一緒に暮らせるの楽しみにしてるから、俺を信じて」
「何も、疑ってないよ」
ありのままを見せているのは自分だけじゃない。彼だってそう。時々、不安になることはあるけど、それは未来に対してだけで、彼と一緒にいる一瞬一瞬は、疑う余地のないぐらい幸せな時間だった。