過保護な偽装結婚 〜契約妻なのに推し副社長が甘すぎる〜
 テーブルに手をついて身を乗り出す。大きな海老やホタテが乗ったやきそばで、想像していたより豪勢なものだった。

「これぐらいならすぐに作れるよ。七海は?」
「……あんまり得意じゃないかも。ひとりだと、すぐに手抜きしちゃうし」
「工作が得意そうだったから、料理も好きかと思ってたよ」

 さっきまでうちわを見ていたからどきっとしてしまう。彼もあのときのことを覚えているみたいだ。

 うちわも写真ももらったことは知ってるだろうし、あれはどうしたのかと聞かれたら、嘘をつく自信がない。

「樹生さんは料理好きなの?」
「一人暮らしが長いだけ。最近は忙しくてやらないけどね」
「そっか。じゃあ、休みの日は交代で作ろうよ」

 別に変なことを言ったつもりはないが、箸を並べる彼の手が止まる。また、なんでも分けるのか、とでも思ったのだろうか。

「ふたりでいられるときは一緒に作ったらいいんじゃないか?」

 珍しく、どこかぶっきらぼうに彼は言うと、椅子に腰かける。七海も戸惑いながら向かいに座った。

(何か、怒ってる……?)

 じっと見てくる彼に、にへら、と笑って、七海はやきそばを口にした。とんでもなく美味しい。高級料理店のやきそばは食べたことがないけど、そういうところで食べるやきそばはきっと、こんな味がするんだろうなと思えるぐらい味わい深い。

「そ、そうだね。私、こんなに美味しい料理作れないから、樹生さんと作った方がいいかも」

 とてもではないが、彼を満足させられる料理をひとりでは作れないだろう。

 すると、彼は納得するようにうなずいた。

「俺たち結婚したばかりだけど、七海が避けないでいてくれたらいいとは思うよ」
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