過保護な偽装結婚 〜契約妻なのに推し副社長が甘すぎる〜
「用件があるなら今聞くから」
「うわー、マジでとっつき悪いよな、小塚って」
「失礼ね」

 表情を変えずにそっけなく言うと、彼の顔色が変わる。

「あ……、悪い。いやー、俺はさ、そんな態度じゃ恋人どころか友だちだってできないだろって、前から心配でさ」

 余計なお世話だ。ムッとしたが、これは涼太のいいところでもある。

 同期で本社勤務になったのは、両手で数えられるほどしかいなかったが、それでも自分はずっと浮いていた。こうして気安く話しかけてくれる彼がいたから、研修もそれなりに楽しく過ごせた。

「そんな話をしにきたの?」
「そうじゃなくてさ」

 涼太は周りをササッと見回すと、腕をつかんで引っ張ってくる。

「ちょっと……」
「みんなが見てるだろ」

 だったらなおさら、こそこそ話してたらうわさされるだろう。

 腕を振りはらうわけにもいかなくて、仕方なく一緒に外へ出ると、ひと目がなくなったことを確認して、顔を近づけてくる。

「小塚、結婚したんだって?」

 思わず、大きく目を見開いてしまった。結婚に関しては、何を言われてもポーカーフェイスでいようと決めていたのに。

 こういう下世話な話のときだけは敏感に察知する涼太は、にやにやと口元をゆるめた。

「マジなんだ? びっくりだぜ。見合い?」
「は?」
「見合いかって聞いてんの。小塚に恋人がいたなんて、絶対ありえないからなぁ」

 失礼にもほどがあるが、否定できない。

「誰に聞いたの?」
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