過保護な偽装結婚 〜契約妻なのに推し副社長が甘すぎる〜
卒業後、七海は都内にオフィスを構える友澤ビルディングに就職し、樹生とは無縁の生活をしてきた。すっかり彼のことは懐かしい思い出になっていたはずだったが、同窓会で会えると知ったら、柄にもなくワンピースを新調していた。
同窓会は思っていたよりも大規模なものだった。当然、アメリカから一時帰国している樹生は、絶えず誰かにつかまって談笑していた。七海が付け入る隙はまったくなかった。
(なんで私……ここにいるんだろ)
樹生以外、目当ては何もなかった。懐かしい同期の女子から話しかけられたが、あいさつ程度の会話をしただけで、これといって話も弾まなかった。彼女たちは恋の話で盛り上がっていて、樹生以外に心惹かれたことのない七海は、そういった話が窮屈で仕方なかった。
だから、ひと足先に会場をあとにした。激しい後悔だけを味わいにいったような情けない気分だった。
「お腹すいたなぁ」
ろくに食べていない。ぽつりとつぶやいたとき、いきなり後ろから声をかけられた。
「だったら、どっかに食べに行かないか?」
ただのナンパだったら、振り返りもしなかっただろう。だけど、その声を覚えていた自分にびっくりして振り返っていた。
「樹生……さん?」
「久しぶりだな、七海。声かけようと思ったら出ていくからあわてたよ」
樹生は大学時代と変わらない爽やかな笑顔を見せた。トップ企業に就職しながら、少しもすさむことなく生きてきたんだと思わせる余裕がまぶしかった。
「あ……、ああいう、華やかな席はやっぱり、苦手かなぁーって」
同窓会は思っていたよりも大規模なものだった。当然、アメリカから一時帰国している樹生は、絶えず誰かにつかまって談笑していた。七海が付け入る隙はまったくなかった。
(なんで私……ここにいるんだろ)
樹生以外、目当ては何もなかった。懐かしい同期の女子から話しかけられたが、あいさつ程度の会話をしただけで、これといって話も弾まなかった。彼女たちは恋の話で盛り上がっていて、樹生以外に心惹かれたことのない七海は、そういった話が窮屈で仕方なかった。
だから、ひと足先に会場をあとにした。激しい後悔だけを味わいにいったような情けない気分だった。
「お腹すいたなぁ」
ろくに食べていない。ぽつりとつぶやいたとき、いきなり後ろから声をかけられた。
「だったら、どっかに食べに行かないか?」
ただのナンパだったら、振り返りもしなかっただろう。だけど、その声を覚えていた自分にびっくりして振り返っていた。
「樹生……さん?」
「久しぶりだな、七海。声かけようと思ったら出ていくからあわてたよ」
樹生は大学時代と変わらない爽やかな笑顔を見せた。トップ企業に就職しながら、少しもすさむことなく生きてきたんだと思わせる余裕がまぶしかった。
「あ……、ああいう、華やかな席はやっぱり、苦手かなぁーって」