過保護な偽装結婚 〜契約妻なのに推し副社長が甘すぎる〜
七海はハッとして背筋を伸ばした。顔は真っ赤かもしれない。でも冷ます余裕がなかった。彼がこんなにもあけすけに褒めてくれるとは予想もしてなかったのだ。
「はい。秘書の七海さんです」
「か……加賀七海です。こうしてお会いできて光栄です」
口に出してみて、加賀七海と名乗ったのが初めてだと気づいた。あまりに新鮮な響きに、自分で驚いてしまった。
「七海を紹介するのは、綿内社長が初めてなんですよ」
「それはうれしいね」
「友澤でもっとも信頼しているんです」
樹生はまるで本心で言っているかのようにそう答えると、こちらに顔を向ける。
「綿内社長は以前、友澤ビルディングにお勤めだったんだよ」
「お恥ずかしいです。存じ上げなくて……」
綿内を見ると、彼は小さくうなずいた。
「若い頃の話だよ。ああ、そう。知ってるかな? 総務の山村くんとは同期でね。彼は元気?」
「ずいぶんお世話になっています」
樹生がそう答える。
「あれほど信用できる男はいないからね。ぜひ、うちの社にほしいと思ってるんだがね」
「ご勘弁を」
穏やかに笑い合う彼らを、七海はすっかり驚いて眺めた。
(山村部長が樹生さんを裏切るなんてありえないみたい)
でも、その方がしっくりくる。幹部会議のときでも、どちらかというと、山村は樹生に好意的な姿を見せていた数少ない部長の一人だった。
それなら、梨々子が言っていたのは嘘になる。樹生を会社から追い出すつもりで彼女が動いているのだとしたら、あわよくば、社長の右腕とも言える山村も排除する気だろうか。
友澤善則親子にとって、山村部長も邪魔な存在なのかもしれない。
「はい。秘書の七海さんです」
「か……加賀七海です。こうしてお会いできて光栄です」
口に出してみて、加賀七海と名乗ったのが初めてだと気づいた。あまりに新鮮な響きに、自分で驚いてしまった。
「七海を紹介するのは、綿内社長が初めてなんですよ」
「それはうれしいね」
「友澤でもっとも信頼しているんです」
樹生はまるで本心で言っているかのようにそう答えると、こちらに顔を向ける。
「綿内社長は以前、友澤ビルディングにお勤めだったんだよ」
「お恥ずかしいです。存じ上げなくて……」
綿内を見ると、彼は小さくうなずいた。
「若い頃の話だよ。ああ、そう。知ってるかな? 総務の山村くんとは同期でね。彼は元気?」
「ずいぶんお世話になっています」
樹生がそう答える。
「あれほど信用できる男はいないからね。ぜひ、うちの社にほしいと思ってるんだがね」
「ご勘弁を」
穏やかに笑い合う彼らを、七海はすっかり驚いて眺めた。
(山村部長が樹生さんを裏切るなんてありえないみたい)
でも、その方がしっくりくる。幹部会議のときでも、どちらかというと、山村は樹生に好意的な姿を見せていた数少ない部長の一人だった。
それなら、梨々子が言っていたのは嘘になる。樹生を会社から追い出すつもりで彼女が動いているのだとしたら、あわよくば、社長の右腕とも言える山村も排除する気だろうか。
友澤善則親子にとって、山村部長も邪魔な存在なのかもしれない。