過保護な偽装結婚 〜契約妻なのに推し副社長が甘すぎる〜
何年も初恋を引きずって、思い出も何もかも捨てられない赤の他人に想われて、うれしいと言えるなんて、樹生はどれほど心が広いのだろう。
「七海は重いと思う? 会えない間も好きな人に想われてる人生を」
「好きな人だったら平気だけど……、私たちはそうじゃないし……」
樹生はうちわに貼られた自分の顔を指で触れた。
「もう捨てたと思ってたよ。学祭の手伝いなんてしたくなかっただろうし、サークルのやつらに絡まれて迷惑そうだったからさ」
「……ちょっと困ったりはしたけど、私がここにいてもいいのかなって思ってただけで」
「バンドは興味あると思ってたんだ」
「ライブは嫌いじゃないけど……」
バンドというより、アイドルを追いかけていたんだけど、そこまで話す必要はないだろう。そんなことまで知られたくないし。
「論文手伝うのも、迷惑じゃないか心配だった」
「そんなことないよ。樹生さんがいてくれたから、教授にも褒めてもらえたし」
「そういうふうに評価されるの、嫌かなって思ってたよ」
「助け合うのはいいと思ってるよ。どうしてそんなふうに言うの?」
七海は苦しくなる胸をぎゅっとつかんだ。うちわをじっと見つめながらつぶやく樹生のまなざしを見ていると、わけもなく不安になった。
同時に、どうしてそれに気づかなかったんだろうとも思っていた。
「友澤ビルディングに入社できたのも、樹生さんのおかげ?」
「七海は重いと思う? 会えない間も好きな人に想われてる人生を」
「好きな人だったら平気だけど……、私たちはそうじゃないし……」
樹生はうちわに貼られた自分の顔を指で触れた。
「もう捨てたと思ってたよ。学祭の手伝いなんてしたくなかっただろうし、サークルのやつらに絡まれて迷惑そうだったからさ」
「……ちょっと困ったりはしたけど、私がここにいてもいいのかなって思ってただけで」
「バンドは興味あると思ってたんだ」
「ライブは嫌いじゃないけど……」
バンドというより、アイドルを追いかけていたんだけど、そこまで話す必要はないだろう。そんなことまで知られたくないし。
「論文手伝うのも、迷惑じゃないか心配だった」
「そんなことないよ。樹生さんがいてくれたから、教授にも褒めてもらえたし」
「そういうふうに評価されるの、嫌かなって思ってたよ」
「助け合うのはいいと思ってるよ。どうしてそんなふうに言うの?」
七海は苦しくなる胸をぎゅっとつかんだ。うちわをじっと見つめながらつぶやく樹生のまなざしを見ていると、わけもなく不安になった。
同時に、どうしてそれに気づかなかったんだろうとも思っていた。
「友澤ビルディングに入社できたのも、樹生さんのおかげ?」