過保護な偽装結婚 〜契約妻なのに推し副社長が甘すぎる〜
彼はハッと肩を震わせて、すぐに首を横に振った。
「七海なら、もっといい会社に内定もらえただろう。ただ俺が、親父に同期の女の子が秘書志望なんだって話したことはある」
「……そっか。名南大学で、樹生さんと同じゼミだったから合格したんだね」
合格したのはラッキーだったと今でも思うけど、樹生がいたから自分の人生がうまく軌道に乗っていたのだと思い知らされる。
でもそれは、決して悪いことではないはずだ。それなのに、彼はやけに思い詰めていた。
「俺は七海の実力だと思ってるよ。今なら、余計にそう思う」
「過信しすぎだよ。樹生さんはすごい人なんだから」
「……いつから俺が好きだった?」
「え……」
いきなり顔をのぞき込むように近づいた樹生に驚いて、七海は後ろに身をそらした。
「三年……って言ってたよな? 卒業して会えなくなったから気づいた?」
「えっと……」
出会ったときから好きだったかもしれない。優しい雰囲気は話しやすかったし、面倒見がいいところも好ましかった。その一方で、活動的な彼にあこがれていた。決して自分ではやれないことを、すべて手に入れていく彼は尊敬の対象だった。
ますます近づいてくる彼から身を引くが、ベッドの背にぶつかって下がれなくなる。床についた手に、かぶせるようにして彼の手が重なってきて、まるで抑え込まれたみたいになってしまう。
何から話したらいいかわからずに戸惑っているのに、彼は切実そうに見つめてくる。
「在学中に、七海が俺を好きでいるなんて、一度も感じたことがなかった」
頭の中に、涼太の言葉がよぎる。そんなんじゃ、恋人どころか友だちもできないぞって。
自分では、仲良くできていること自体が好意の表れだったが、彼にはまったく伝わっていなかった。
「七海はいつも俺の話に耳を傾けて笑ってくれたけど、俺が話しかけないと話してもくれなかったからね」
「それはたぶん……緊張してたというか、樹生さんはみんなの樹生さんだったし」
「七海なら、もっといい会社に内定もらえただろう。ただ俺が、親父に同期の女の子が秘書志望なんだって話したことはある」
「……そっか。名南大学で、樹生さんと同じゼミだったから合格したんだね」
合格したのはラッキーだったと今でも思うけど、樹生がいたから自分の人生がうまく軌道に乗っていたのだと思い知らされる。
でもそれは、決して悪いことではないはずだ。それなのに、彼はやけに思い詰めていた。
「俺は七海の実力だと思ってるよ。今なら、余計にそう思う」
「過信しすぎだよ。樹生さんはすごい人なんだから」
「……いつから俺が好きだった?」
「え……」
いきなり顔をのぞき込むように近づいた樹生に驚いて、七海は後ろに身をそらした。
「三年……って言ってたよな? 卒業して会えなくなったから気づいた?」
「えっと……」
出会ったときから好きだったかもしれない。優しい雰囲気は話しやすかったし、面倒見がいいところも好ましかった。その一方で、活動的な彼にあこがれていた。決して自分ではやれないことを、すべて手に入れていく彼は尊敬の対象だった。
ますます近づいてくる彼から身を引くが、ベッドの背にぶつかって下がれなくなる。床についた手に、かぶせるようにして彼の手が重なってきて、まるで抑え込まれたみたいになってしまう。
何から話したらいいかわからずに戸惑っているのに、彼は切実そうに見つめてくる。
「在学中に、七海が俺を好きでいるなんて、一度も感じたことがなかった」
頭の中に、涼太の言葉がよぎる。そんなんじゃ、恋人どころか友だちもできないぞって。
自分では、仲良くできていること自体が好意の表れだったが、彼にはまったく伝わっていなかった。
「七海はいつも俺の話に耳を傾けて笑ってくれたけど、俺が話しかけないと話してもくれなかったからね」
「それはたぶん……緊張してたというか、樹生さんはみんなの樹生さんだったし」