過保護な偽装結婚 〜契約妻なのに推し副社長が甘すぎる〜
『あの、隣の席の人がすごく具合悪そうで……』
彼女はわざわざそれを言いに来たようだった。すぐに席に駆けつけると、盛り上がる観客の中で、若い女性が背中を丸めてうつむいていた。真っ青な顔色の女性をすぐに救護室に連れていった。七海も心配だったのかついてきた。
診察をして、貧血だとわかり、救護室の前にひとりで立っている七海に声をかけた。
『もう大丈夫だから、戻っていいよ』
そう声をかけたら、ようやく小さく微笑んだ。その純朴そうな笑顔がとてもかわいかった。今でも鮮明に思い出せるほど……。
急ぐように走っていく七海の背中を見ていると、知人が救護室の前を通りがかった。
『あれ、あの子……』
『知ってる子ですか?』
『さっき、小学生の迷子を連れてきた子だよ。具合でも悪いの?』
『いや、具合の悪い人がいるって言いに来たんですよ』
『へえ。楽しめてるのかな? 母親が見つかるまでずっと一緒にいてくれてさ。今どき、真面目だよな』
知人は笑ったが、笑う気にはなれなかった。
そのあとも、何度か単発でアルバイトをしたが、七海に会うことはなかった。それでも、彼女は何回かコンサートに来ているようで、時々同様の親切をしてると知人から聞いていた。
すごく優しい子なんだろうと好感を持ったし、どこかで会えないかといつも無意識に探していた。どうにも気になって忘れられなかった。
だから、留学後に復学して、ゼミの見学で七海を見つけたときは、息を飲むほど驚いた。
彼女はわざわざそれを言いに来たようだった。すぐに席に駆けつけると、盛り上がる観客の中で、若い女性が背中を丸めてうつむいていた。真っ青な顔色の女性をすぐに救護室に連れていった。七海も心配だったのかついてきた。
診察をして、貧血だとわかり、救護室の前にひとりで立っている七海に声をかけた。
『もう大丈夫だから、戻っていいよ』
そう声をかけたら、ようやく小さく微笑んだ。その純朴そうな笑顔がとてもかわいかった。今でも鮮明に思い出せるほど……。
急ぐように走っていく七海の背中を見ていると、知人が救護室の前を通りがかった。
『あれ、あの子……』
『知ってる子ですか?』
『さっき、小学生の迷子を連れてきた子だよ。具合でも悪いの?』
『いや、具合の悪い人がいるって言いに来たんですよ』
『へえ。楽しめてるのかな? 母親が見つかるまでずっと一緒にいてくれてさ。今どき、真面目だよな』
知人は笑ったが、笑う気にはなれなかった。
そのあとも、何度か単発でアルバイトをしたが、七海に会うことはなかった。それでも、彼女は何回かコンサートに来ているようで、時々同様の親切をしてると知人から聞いていた。
すごく優しい子なんだろうと好感を持ったし、どこかで会えないかといつも無意識に探していた。どうにも気になって忘れられなかった。
だから、留学後に復学して、ゼミの見学で七海を見つけたときは、息を飲むほど驚いた。