過保護な偽装結婚 〜契約妻なのに推し副社長が甘すぎる〜
「善則、おまえはどんな教育してきたんだ。どう責任取るつもりだ」

 善則は口を開かなかったが、宏弥の背中をドンッと叩く。「いてぇよ」と宏弥がつぶやいたとき、ドアがノックされ、のり子の到着を先輩秘書が告げた。

 七海はすぐさまドアを内側から開く。セットアップのパンツスーツ姿ののり子が毅然と立っている。彼女はちらりとこちらへ目を移す。

「名前は?」
「……加賀、七海と申します」
「あなたね」

 のり子はそれだけ言うと、上座に腰を下ろす。

「私がここに来た理由はご存知ね。洋一、説明してちょうだい」

 七海が緑茶を差し出すと、のり子が口火を切った。

「今朝、電話で話した通りです。建材がグレードダウンしたもので納品されていた事実は、宏弥立ち会いのもとで確認しました。工事はいったん中止し、全点検を調整中です。そのほかの証拠も樹生が用意したので、ご覧ください」

 洋一は水増し請求から建材問題など、これまで発覚した不正に関する資料を見せて説明した。

 善則は仏頂面で、宏弥はめんどくさそうにため息をついては髪をかいていた。しかし、ひどく緊張しているのか、何度も指でひざを叩いていた。

 のり子は気難しい表情で洋一の話を聞いていたが、資料を眺めると、わずかに顔色を変えた。動揺を隠しきれていないようだった。

「話が違いますね、宏弥」
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