過保護な偽装結婚 〜契約妻なのに推し副社長が甘すぎる〜
「だから、言っただろ。全部、そいつのでっちあげだって。そうじゃないっていうなら、親父が勝手にやったんだろ」

 投げやりに宏弥が言うと、善則の顔色が変わる。

「おまえが社長になりたいって言ったんだろ。会長を説得しろって言ったはずだ」
「あのじいさんが折れるわけないから、洋一おじさんを辞めさせるしかないって言ったのは、親父だろ」
「嘘をつくな、宏弥」
「何が嘘だよ」

 ふてくされる宏弥を見て、のり子はため息をつく。

「樹生は友澤の人間じゃないですから、任せるのはどうかと思ってたけど、あなたたちがこれでは……」

 あきれたように首を横に振る。

「証拠の資料は一度、持ち帰ります。樹生が捏造した可能性が少しでもあるなら、副社長はやめてもらいます。あと……なんですか、この松尾という社員。即刻、懲戒処分にしなさい」

 資料から目をあげたのり子は、善則親子を交互に見る。

「善則も宏弥も、調査が済み次第、事実とわかれば更迭ね。保有している友澤の株も手放してもらいます」
「なっ……、それじゃあ、俺はどうやって生きてけばいいんだよ」
「自業自得です。おとなしくマネジメントで働いていればよかったんですよ」

 興奮して立ち上がる宏弥にビシッと告げると、のり子は片手を振った。

「善則と宏弥はもういいわ。帰りなさい。もちろん、自宅にね。当分、謹慎していなさい」
「母さん……」

 善則がつぶやくと、のり子は顔をひきつらせた。

「場をわきまえなさい。こんなことをしでかして、泣き言を言えば済むと思ったら大間違いよ」

 しぶしぶ、善則は立ち上がる。
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