君の隣は、呼吸ができる
視線をさまよいながら、少し悩んだ。

公園の入り口に立つ一本の街灯が、アスファルトの上に丸い光の輪を作っている。
木々が風に揺れるたびに、その輪の中に黒い影が差していた。


「大事な、幼馴染……だよ」


こう答えるのが正解だと思った。


「……そっか……」


真樹の声が、少し笑ったように聞こえる。
その響きが胸に刺さって、一瞬、言い直した方がいいような気がした。


思わず口を開きかけたけれど、結局何も言えずに頷いた。

ゆっくり顔を上げて、真樹を見つめる。


彼の目をちゃんと見るには、一歩、後ろに下がらなきゃいけない。

これが、私たちの変えられない身長差で、私たちの距離だ。

ヒールの靴を履いても、私はやっぱり真樹に見下ろされるまま。

どんなに背伸びしても届かない。


「みんな、どんどん遠くに行って……」

視界がぐにゃりと歪む。

「真樹も……」
「大人……に、なっ…………」

唇が震えて、うまく言えない。
ゆっくりと息を吐く。

涙がぽろりとこぼれた。

「……私だけが、何も……変わらない……」

これ以上何かを言うと、どんどん涙が止まらなくなって。
それこそ、子どもみたいに泣いてしまいそう。


私が黙り込むと、真樹がさらに近付いて大きな手を伸ばす。

(そうやって、また)
(真樹は頭を撫でてくれるんだよね……)

受け入れようと目を閉じた。
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