君の隣は、呼吸ができる
私は立ち上がると、裸足のまま真樹の前に立つ。

砂が足裏にまとわりついて、小さな石が刺さる。
その痛みのおかげで、私はありのままの自分を感じることができた。

動揺した目を向ける真樹に手を伸ばし、肩を思い切り掴んだ。

「私は、真樹が好き!」

声を上げた瞬間、涙が一気に溢れ出した。

「幼馴染としてじゃなくて。男の人として、大好きなの……っ!」

自分の想いをどう伝えようか、昨夜はたくさん考えた。
いざ、真樹を目の前にすると、これ以上の言葉が出てこない。

唇も、手足も、震えている。

目を見開いたまま、真樹は固まっていた。
街灯の明かりを映した瞳が、大きく揺れる。

(お願い……伝わって……)

その沈黙が、とても長く感じた。

耳元で鳴り響く自分の鼓動と、二人だけの息遣いが重なる。

それ以外の音は、無くなってしまったみたいだった。


――やがて。

真樹の喉が、大きく上下した。
そして、ふっと肩の力が抜けたみたいに笑う。

「……俺も、好きだよ」

「……っ」

「若葉が好きだ」

そう言って、泣きそうな顔で微笑んだ。


「……え、ええ?」

頭が真っ白になる。
熱が一気に顔へ集まって、足元がふらつく。
思わず一歩、後ろに下がろうとした――その瞬間。

「……どこにも行かせない」

真樹の両腕が、私の腰をぐっと引き寄せた。
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