君の隣は、呼吸ができる
ふと、右側の引き戸に目がいく。

「そっちは寝室」

後ろから低い声がした。

いつの間にか、真樹が戻ってきていた。

抱えていた段ボールを、引き戸の前に置いてから開ける。
彼について行くと、その部屋にはまだ寝具はなく、代わりに段ボールが隅へいくつか積まれていた。

「ベッドは引っ越しの日に届く。……それにしても暑いな」

真樹が寝室の窓を開けた。
そして、シャツの襟元をつまんでぱたぱたと風を送る。

持ち上がった裾から、引き締まった脇腹がちらりと見えた。

(……わあああっ!!)

途端に胸が騒がしくなった。

普段は服に隠れている彼の肌も、男の人らしい体を間近で見たのも、初めてだった。
見ちゃいけない気がするのに、割れた腹筋が気になって目が離せない。

「あ、ごめん」

私の視線に気付いた真樹が、慌ててシャツを下ろした。

「う、ううん!」

私も勢いよく首を振る。
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