君の隣は、呼吸ができる
エアコンの取り付けを終えた業者さんが帰っていった。
さっきまで汗ばむほど暑かった部屋は、エアコンから流れ始めた涼しい風のおかげで、少しずつ過ごしやすくなっていく。

真樹はソファに座り、説明書を真面目な顔で読んでいる。

寝室に移動した私は、「こっちも片付けていい?」と彼に声を掛けてから、部屋の整理を始めた。
新しいアイロンや掃除道具を揃えている辺り、キッチン用品以外は完璧に準備をしているのが分かる。

(これから、私が真樹にできることって何だろ?)

(ゆっくり考えておこ……)


太陽の光が、新しいカーテンをやさしく透かしていた。
少しだけ漏れた光の先に、大きめの段ボールが一つだけあって気になった。
それには、『すぐ使うもの』と書かれてあり、他の積み重なっている段ボールとは少しよけて置いてある。

ガムテープを剥がして、箱を開けてみた。 

几帳面にたたまれたネクタイ、ハンカチ。あと、目覚まし時計。
どれも社会人になったら毎日使うものばかり。

「あ……っ!」

それに。

――今まで、彼に渡したお土産たち。

タンブラー、クリップ、ボールペン。
どれも綺麗なままで、ほとんど使った跡がなかった。

お菓子が入っていた空の缶まである。
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