君の隣は、呼吸ができる
恋人になって一カ月 ―フラットシューズのお姫様―
幼馴染の真樹と恋人になって、一カ月が経った。
毎朝一緒に駅へ向かって、満員電車に揺られていた頃とは違って、今は毎日会えるわけじゃない。
それでも、連絡は欠かさないし、たまに途中まで一緒に帰る。
金曜日には、仕事帰りにそのまま真樹の家へ泊まりに行くようにもなった。
だからといって恋人っぽい進展はとくにないけれど、それでも十分、満たされた毎日を過ごしている。
幼馴染だった頃より、会える時間は減ったはずなのに。
朝起きたらメッセージを送る時間も、電話で声を聞く時間も、次に会える日を待つ時間も。
ひとつひとつが楽しみで、嬉しくなった。
そんなある日の夜。
電話越しに、真樹が何でもないことのように言った。
「……そろそろ一カ月だな」
「そうだね!」
サイドテーブルに置いた卓上カレンダーを眺めながら頷く。
テーマパークの写真付きで、今は王子様がお姫様を抱き上げて、幸せに微笑んでいるシーンのものだった。
「ちょっと良い店に行こうか」
「えっ!?」
思わず、ベッドから飛び起きる。
「ご飯食べに行くってことだよね!?」
「それって、一カ月記念ってことだよね!?」
「そう」
私が興奮気味にしゃべると、真樹が軽く吹き出す。
「若葉が好きなもの食べような」
「やったー!!」
弾んだ声が、そのままスマホの向こうへ飛んでいく。
嬉しいけれど。
ふと、現実的な心配が引っかかった。
「……ねえ、真樹」
「一人暮らし始めたばかりなのに、大丈夫なの?」
引っ越しをして、家具も家電も買ったばかり。
しかも真樹は、自分がご馳走すると言い張っている。
少し間があってから、得意げな声が返ってきた。
「安心しろ。今年のボーナスは最高に良かった」
「おおお……!」
ちょっと得意げな言い方が可笑しくて、今度は私が吹き出してしまった。
毎朝一緒に駅へ向かって、満員電車に揺られていた頃とは違って、今は毎日会えるわけじゃない。
それでも、連絡は欠かさないし、たまに途中まで一緒に帰る。
金曜日には、仕事帰りにそのまま真樹の家へ泊まりに行くようにもなった。
だからといって恋人っぽい進展はとくにないけれど、それでも十分、満たされた毎日を過ごしている。
幼馴染だった頃より、会える時間は減ったはずなのに。
朝起きたらメッセージを送る時間も、電話で声を聞く時間も、次に会える日を待つ時間も。
ひとつひとつが楽しみで、嬉しくなった。
そんなある日の夜。
電話越しに、真樹が何でもないことのように言った。
「……そろそろ一カ月だな」
「そうだね!」
サイドテーブルに置いた卓上カレンダーを眺めながら頷く。
テーマパークの写真付きで、今は王子様がお姫様を抱き上げて、幸せに微笑んでいるシーンのものだった。
「ちょっと良い店に行こうか」
「えっ!?」
思わず、ベッドから飛び起きる。
「ご飯食べに行くってことだよね!?」
「それって、一カ月記念ってことだよね!?」
「そう」
私が興奮気味にしゃべると、真樹が軽く吹き出す。
「若葉が好きなもの食べような」
「やったー!!」
弾んだ声が、そのままスマホの向こうへ飛んでいく。
嬉しいけれど。
ふと、現実的な心配が引っかかった。
「……ねえ、真樹」
「一人暮らし始めたばかりなのに、大丈夫なの?」
引っ越しをして、家具も家電も買ったばかり。
しかも真樹は、自分がご馳走すると言い張っている。
少し間があってから、得意げな声が返ってきた。
「安心しろ。今年のボーナスは最高に良かった」
「おおお……!」
ちょっと得意げな言い方が可笑しくて、今度は私が吹き出してしまった。