Honey Melty



「だってみんな同じような顔でさ、つまんねーじゃん。1枚ぐらいふざけさせろ」
「一番に目が行きそうですね」
「真鳥が豊越の立場だったとして、俺のやつ、一番に目が行く?」
「え、あ、…まぁ、そうですね。見ちゃうかも」
「ふーん」


よっこいしょ、と協議スペースに座った咲間さんは、ぼーっと立つ私を見上げながら「真鳥も隣おいで」と微笑んだ。

キ、キュンどころではない。ギュンだ。胸がギュンとする。濁音になると途端に可愛くなくなるトキメキの音。でも重みはある。

彼の隣を狙う女性社員は多い。私が座ってもいいのだろうか。いや、座らせてもらう。だって、せっかく「おいで」って言ってくれたんだもん。

咲間さんの隣に座る。

協議スペースに置いてある油性ペンを2本取って1本は渡してくれた。


「なに書くかなー。メッセージとか苦手なんだよね。かっこいいことも言えないし」


存在がかっこいいので問題なしです。

真鳥は何書くの?と覗かれる。

や、近い!近いですって!しかもいい匂いする。柔軟剤ぽい優しい匂い。いい男はいい匂いするって決まってるんだ。

両手でチェキを隠すと、それを見た咲間さんがキャップの付いた油性ペンの先端で手の甲をなぞってきた。思わず「ん、」と情けない声が漏れて慌てて口を押さえる。が、遅かったみたい。


「なんつー声だしてんの。普通にエロい」


……ま、真顔で言わないでください、そんなの。



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