追放された自称悪役令嬢は落ちぶれた元騎士を拾って辺境に返り咲く
❅ ❅ ❅

王都の王宮。

高い天井の会議室は、いつも通り静まり返っていた。

しかしその静けさは、平穏ではない。

張り詰めた静寂だった。

「……報告は以上です」

部下の男が頭を下げる。

グラントは、机の上の書類からゆっくりと視線を上げた。

「もう一度言え」

「は……」

部下は喉を鳴らす。

「エレノア・アルヴェイン様が追放された辺境の村にて、異常な速度での発展が確認されています」

グラントの指先が、わずかに止まる。

「続けろ」

「水路の修復、畑の拡張、保存食技術の導入により、冬季の備蓄量が通常の三倍近くまで増加。

さらに商隊との取引が開始され、物資の流入も安定化など......」

沈黙が続いた。

暖炉の火が、ぱち、と小さく鳴った。

「……三倍だと?」

「はい」

部下は慎重に頷く。

< 119 / 121 >

この作品をシェア

pagetop