追放された自称悪役令嬢は落ちぶれた元騎士を拾って辺境に返り咲く
「王都とは違って、ここは寒いですよ」

「でしょうね」

沈黙。

騎士は何を期待していたのだろう。

やがて目的地が見えてきた。

小さな村だった。

煙突から煙が上がっている。

家は古く。

道も荒れている。

お世辞にも豊かとは言えない。

「こちらが今後の居住地になります」

私は窓の外を見つめた。

辺境の村。

追放先。

新しい住処。

そして――

人生の再出発地点。

しばらく眺めたあと、私は静かに呟く。

「悪くないわ」

王宮よりずっと静かだ。

誰も私を王女として見ないだろう。

誰も期待しないし、

誰も失望しない。

それは少しだけ寂しくて。

少しだけ心地よかった。

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