追放された自称悪役令嬢は落ちぶれた元騎士を拾って辺境に返り咲く
レオンは自嘲気味に笑った。

「だから今は、何者でもない」

その言葉が妙に胸に刺さった。

何者でもない。

それは少し前までの自分と同じだったから。

王女という地位を失った私。

騎士という称号を失った彼。

立場は違う。

けれど、失ったものは似ていた。

私は視線を本へ戻す。

そして小さく呟く。

「それは違うわ」

レオンが顔を上げる。

「ん?」

「何者でもない人間だったら、私はとっくに見捨ててる。」

私はページをめくる。

「でも、あなたは今もここにいるでしょう」

静寂が広がり、暖炉の火だけが揺れる。

しばらくして、レオンは小さく笑った。

「変な慰め方だな」

「慰めてなんかないわ」

「そういうことにしておく」

私は顔をしかめた。

どうしてこの男は勝手に人の本音を見抜こうとするのだろう。

そういうところがどうしようもなく、腹立たしかった。

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