追放された自称悪役令嬢は落ちぶれた元騎士を拾って辺境に返り咲く
けれど私の感想は一つだった。

「静かね」

誰もいない。

侍女も家庭教師も、護衛隊長も。

朝から山のような書類を運んでくる官僚たちも。

誰もいない。

私は思わず笑った。

「何がおかしいのですか?」

御者台から騎士が尋ねる。

「別に」

本当は少し楽しかった。

何年ぶりだろう。

誰からも予定を押し付けられない朝は。

王女だった頃の一日は忙しい。

起床してすぐに行われる朝会。

執務、視察、教育、夜会、政治会談。

目まぐるしい仕事をこなし、気が付けば夜中。

そんな毎日だった。

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