追放された自称悪役令嬢は落ちぶれた元騎士を拾って辺境に返り咲く

用済み騎士はひねくれ令嬢と過ごす日常に幸せを感じる

右腕ではない。

もっと奥。

記憶の底から引きずり上げられるような痛みだった。

(あの時も……)

戦場だった。

数え切れないほどの魔物の大群に襲われ、

仲間と籠城していた古城に火をつけられた。

闇夜の中で燃える城壁。

崩れ落ちる石の音。

そして――叫び。

「レオン!!」

自分の名を呼ぶ声。

振り向いた瞬間、視界いっぱいに広がった黒い魔法陣。

「国を守るためだ」

誰かの声がした。

王でもなければ、魔物でもない。

もっと静かで、もっと冷たい声。

< 82 / 121 >

この作品をシェア

pagetop