乾杯はふたりだけの秘密
年明け
『明けましておめでとうございます』
賢吾からのメッセージで新しい年を迎えた。
『明けましておめでとう』
『何してました?』
『テレビ見ながらダラダラしてた』
『俺もです』
電話だったらきっと数十秒で終わる会話なのに、それをわざわざ文字にして送って、待って、また返して――そんなやり取りを何度も繰り返している。画面に「既読」がつくたびに、胸の奥が小さく跳ねる。返事を待つ数秒が、どうしてこんなにも長く、こんなにも愛おしいのだろう。
途中、なかじーからもメッセージが届いた。ということは、彼ものんびり過ごしているのだろう。まさやんは何だかんだ言いながらも年末に実家に帰って、地元の友達のバーで毎年恒例のカウントダウンパーティを楽しんでいるはずだ。そんな内容も交えながら、賢吾とのやりとりが続いた。
返信の間隔が数秒から数十秒に変わり、それから数分になって、やがて、通知音が止まった。
寝てしまったのだろうかと考えながら待っているうちに、いつのまにか結衣の意識も途切れていた。気がつけば、カーテンの隙間から朝の光が差し込んでいた。
スマホを開くと、未読メッセージが二件あった。
『行きましょう。次は辛さ七に挑戦しましょうか』『もう寝ましたか?』
先に寝てしまったのは、結衣のほうだった。
ベッドから出てキッチンに入ったが、実家ではないから雑煮もおせち料理もない。結衣は正月感ゼロのオートミール粥でとりあえず空腹を満たした。
鏡餅やしめ飾りはないけれど、ピカピカに磨かれたシンクやフローリングの床、新調した布巾やタオルを目にすると、新年を実感する。
結局、賢吾に大掃除を手伝ってもらうことはなかった。声を掛ければ快く手伝ってくれたはずだけれど、逆にそれだけで呼びつけるのはどうかと考えたり、時間帯は朝がいいのか昼がいいのか、掃除が終わった後は「ご飯食べていく?」とでも声を掛けるべきなのか、などとあれこれ考えていたら声を掛けれなくなってしまった。かと言って、素直に「会いたい」と言う勇気はなかった。
賢吾からのメッセージで新しい年を迎えた。
『明けましておめでとう』
『何してました?』
『テレビ見ながらダラダラしてた』
『俺もです』
電話だったらきっと数十秒で終わる会話なのに、それをわざわざ文字にして送って、待って、また返して――そんなやり取りを何度も繰り返している。画面に「既読」がつくたびに、胸の奥が小さく跳ねる。返事を待つ数秒が、どうしてこんなにも長く、こんなにも愛おしいのだろう。
途中、なかじーからもメッセージが届いた。ということは、彼ものんびり過ごしているのだろう。まさやんは何だかんだ言いながらも年末に実家に帰って、地元の友達のバーで毎年恒例のカウントダウンパーティを楽しんでいるはずだ。そんな内容も交えながら、賢吾とのやりとりが続いた。
返信の間隔が数秒から数十秒に変わり、それから数分になって、やがて、通知音が止まった。
寝てしまったのだろうかと考えながら待っているうちに、いつのまにか結衣の意識も途切れていた。気がつけば、カーテンの隙間から朝の光が差し込んでいた。
スマホを開くと、未読メッセージが二件あった。
『行きましょう。次は辛さ七に挑戦しましょうか』『もう寝ましたか?』
先に寝てしまったのは、結衣のほうだった。
ベッドから出てキッチンに入ったが、実家ではないから雑煮もおせち料理もない。結衣は正月感ゼロのオートミール粥でとりあえず空腹を満たした。
鏡餅やしめ飾りはないけれど、ピカピカに磨かれたシンクやフローリングの床、新調した布巾やタオルを目にすると、新年を実感する。
結局、賢吾に大掃除を手伝ってもらうことはなかった。声を掛ければ快く手伝ってくれたはずだけれど、逆にそれだけで呼びつけるのはどうかと考えたり、時間帯は朝がいいのか昼がいいのか、掃除が終わった後は「ご飯食べていく?」とでも声を掛けるべきなのか、などとあれこれ考えていたら声を掛けれなくなってしまった。かと言って、素直に「会いたい」と言う勇気はなかった。