乾杯はふたりだけの秘密
昼過ぎに着信音が鳴り、実家からかと思えば、賢吾からだった。
「起きてました?」
「うん、起きてたよ」
「何か声聞きたくなって」
「そ、そう……」
真に受けて、冗談のひとつも浮かばない。
「ごめんね。メールの途中で寝ちゃって」
「いえ、全然。俺もあれからすぐ寝ました」
「そっか」
少しの沈黙があった。
「話すの四日ぶりですね」
「え? ああ、仕事納めが二十八日だったから……そうだね、四日ぶり」
「本当は今日先輩に会いたかったんですけど、今ちょうど実家から呼び出しくらって」
ほらまたそうやって、こっちが言えなかった言葉をさらりと言ってのける。
「そりゃそうだよ。お正月くらい帰ってあげないと」
「そうですよね。俺は先輩みたいに、拒む理由も特にないんで」
茶化すような笑い声が耳に届いた。
痛いところを突いてくる。彼氏と別れた事実をうやむやにするために、風邪を引いた体でこうして自宅待機しているのだ。けれど、いつまでも隠しきれるわけではない。
「いつも連絡ある時は母親からなんですけど、今日は珍しく父親からで。何か用があんのなぁとか思って。まあすぐ戻ってきますけどね」
「そっか。せっかくなんだし、ゆっくりしておいでよ」
賢吾からの思いがけない電話で、会えない寂しさが会いたい思いに変わった。賢吾とこうして他愛もない話をしていることが、彼の日常に自然と自分が溶け込んでいるようで嬉しくなる。
「また連絡しますけど、初詣は四日に行きましょう」
「うん、わかった。気をつけて行ってきてね」
気分的には語尾に「ダーリン♡」が付いていた。電話を切ってから、ふと考える。
賢吾と再会してから、家族の話は聞いていなかったけれど、実家というのは、当時賢吾が母親とふたりで暮らしていた場所だろうか。賢吾の両親が離婚したと聞いたのは、確か、賢吾が中学に入学してすぐだったと記憶している。父親というのは、母親の再婚相手ということだろうか。離婚から十年以上も経っているのだから、再婚していても何ら不思議なことではないし、母親の再婚相手ともそれなりに良好な関係を築けているということだろう。
「起きてました?」
「うん、起きてたよ」
「何か声聞きたくなって」
「そ、そう……」
真に受けて、冗談のひとつも浮かばない。
「ごめんね。メールの途中で寝ちゃって」
「いえ、全然。俺もあれからすぐ寝ました」
「そっか」
少しの沈黙があった。
「話すの四日ぶりですね」
「え? ああ、仕事納めが二十八日だったから……そうだね、四日ぶり」
「本当は今日先輩に会いたかったんですけど、今ちょうど実家から呼び出しくらって」
ほらまたそうやって、こっちが言えなかった言葉をさらりと言ってのける。
「そりゃそうだよ。お正月くらい帰ってあげないと」
「そうですよね。俺は先輩みたいに、拒む理由も特にないんで」
茶化すような笑い声が耳に届いた。
痛いところを突いてくる。彼氏と別れた事実をうやむやにするために、風邪を引いた体でこうして自宅待機しているのだ。けれど、いつまでも隠しきれるわけではない。
「いつも連絡ある時は母親からなんですけど、今日は珍しく父親からで。何か用があんのなぁとか思って。まあすぐ戻ってきますけどね」
「そっか。せっかくなんだし、ゆっくりしておいでよ」
賢吾からの思いがけない電話で、会えない寂しさが会いたい思いに変わった。賢吾とこうして他愛もない話をしていることが、彼の日常に自然と自分が溶け込んでいるようで嬉しくなる。
「また連絡しますけど、初詣は四日に行きましょう」
「うん、わかった。気をつけて行ってきてね」
気分的には語尾に「ダーリン♡」が付いていた。電話を切ってから、ふと考える。
賢吾と再会してから、家族の話は聞いていなかったけれど、実家というのは、当時賢吾が母親とふたりで暮らしていた場所だろうか。賢吾の両親が離婚したと聞いたのは、確か、賢吾が中学に入学してすぐだったと記憶している。父親というのは、母親の再婚相手ということだろうか。離婚から十年以上も経っているのだから、再婚していても何ら不思議なことではないし、母親の再婚相手ともそれなりに良好な関係を築けているということだろう。