~KissHug~
「いまの女ってさ、そうでもなくて
やせすぎなのにダイエットするよね。」

「そうなの!!頭に来るときあるよ。
どんだけキレイになりたいんだって。」

素良が笑った。

「ねぇ、また触ってもいい?」
  改めて聞かれたら恥ずかしい

私は、うなづいた。

素良は、私の手を握った。

「うわ~ぁ!!いいじゃん!!気持ちいいから~」

私は、真っ赤になった。

それから、ほっぺに触った。
指でつっついたり、軽くつねったり

視線を感じて、私はしどろもどろになった。

「や、あの、なんで?」

「俺の、トラウマ~
本当のかあさんが、小さい頃に死んじゃってさ。
かあさんはいつもあったかくて
ほわほわしてたんだ。
寒い夜は、俺の冷たい足をかあさんの
ほわほわな足の間にはさんでくれた。」


素良の顔が
優しい顔になって

「悲しいことがあったら
抱きしめてくれた・・・・・」


そう言ったら
寂しい顔に変わった。

私は、母が大好きだ。
母がいない毎日なんて考えられない。
素良は、小さい頃に
おかあさんを亡くして
可哀そうだと思った。

「ちょっと複雑…
おかあさんって太っていたんだ?
私くらい?」

「松本さんより百倍ね~」

素良は、笑った。

「悲しいことがあったの?」
思い切って聞いてみた。


「いつも、悲しいことばっかりだよ。」

素良は天井を見上げた。






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