~KissHug~
「前から、聞きたかったの。」

芳樹の顔を千鶴は見つめた。

「未練とかじゃなくて、参考として
なぜ、私は松本さんに
芳樹をとられたのかがずっと納得できない。
なんで、松本さんなのか?
芳樹に似合うのは
私の方でしょ?
松本さんは、芳樹のタイプじゃないよ。」


私も聞きたいとは思ってたけど
  ここで?

  素良もいるここで?

「今時、素顔で歩く高校生は珍しいし
松本さんは、まじめだし
さえないし…」

  いうよね…
汗が出た。


「私のプライドが許さない。
みんなが、コソコソいってる。
でも…松本さんに男をとられたって…
冗談じゃないわ。
芳樹の浮気だって、みんな許してきたのに
芳樹が喜ぶように
頑張ってきた。
身体を張ってきたのに…
芳樹にみ~んなあげたのに…」


私は素良が可哀そうになった。

「あの…私のことはいいとして
彼がいるのにそんなこと言っちゃ
可哀そうだよ。
自分の好きな人がそんなこと言ったら
傷つくもの。」


「あなたに聞いてない。」


「そうだけど、そういう話は
芳樹と二人でしてほしい。
二人の間にあったナイーブな関係を
私たちに話すのは
ルール違反だから。
そういうことって目をつぶって
見ないように考えないようにしてるとこなのに
おかしいと思うわ。」


食事が運ばれてきた。

みんながシーンとして
ウエイトレスが配り終えるのを待った。



「まず、食べようよ」



芳樹が
フォークを配った。

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