~KissHug~
部屋に戻ろうと振り向くと
素良がいた。

私は動揺して
携帯を後ろに隠した。


「おまえ、嘘つきだな。
俺と、朝から晩までずっと一緒なくせに。」

「一緒って勉強してるんだもん」

「後ろめたいから
嘘ついたんだろ?」

「素良だって千鶴に嘘ついたでしょ?」

「いや~千鶴はお前を
ライバルだなんて思っちゃないからな。」

  ムカつく!!

「あ、そうですか~」

私は素良の横をすり抜けようとした。


素良が乱暴に手をひいた。

「何?」

「俺に対してのあてつけか?」

「?何?」

「芳樹ってヤツをお前は知らない。
お前はただ俺らの間を走り回る
メッセンジャーだからな。
千鶴じゃ面白くなくなったから
お前にしたんだよ。」

「ひどい……」

「お前は気づかないだろ?
無防備に見せてる首筋についてるキスマーク」

「え?ほんと?」

「所有物扱いだな。」

「そんな言い方しないでよ!」

素良は私を抱きしめた。


「離して!!素良!!」


素良は私の首筋を思いっきり吸い上げた。


「痛い!!やめて!!」


「お土産にもってけ!!」

素良が私を突き飛ばした。
後姿に

「どうして?どうしてこんなことするの?
素良が言うようにだまって終わらせたのに…
芳樹になんて言えばいいの?」



情けなかった

素良のイラつきが怖かった


身体も心も凍りついた。
< 182 / 451 >

この作品をシェア

pagetop