~KissHug~
素良はそのまま私を引っ張って

リネン室に私を押しこんだ。


「何するの?」

素良は私の口を手でふさいだ。

「芳樹を信用するな。」

  なんで?

「あいつ、絶対おかしいから。」

私はバタバタ抵抗して
やっとのことで素良の手から逃れた。

「どうしてそんなこと言うの?」

「どうしてって言われても
わかんないけど、でもなんか変だ。」

「芳樹は優しいよ。
私のこと一番好きって言ったもん。」

「あの遊び人がぷーちゃんを相手にするのも
変なんだ。」

「ひどいよ。なんでそんなこと言うの?
やっと新しい恋みつけたのに・・・」

「新しい恋?」


「そうだよ。やっとやっと
芳樹の胸に飛び込んだのに…
どうして、今になってそんなこと言うの?」


「やっと……
素良を忘れられると思ったのに……」

悲しくて切なくて
涙がこぼれた。
嗚咽が交る言葉を
素良は聞き取れたろうか・・・・


素良は何も言わない…
そして私の前から去って行った。
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