~KissHug~

~38~

バスは解散場所に到着した。

素良とは目も合わせられなかった。

  気持ち言っちゃったから…
  もう素良はもどってこない
  重荷になるから


首筋のキスマークがまだ紅色だった。



バスから降りた時

「歩来!!」と声がした。

背筋がピーンと張った。

首のキスマークが
ドクンドクンと脈打つようだった。


緊張感が漲った。

「迎えに来てくれたの?」

芳樹は、私を抱きしめた。

「ね、みんないるんだから、やめて…」

私は、キョロキョロ見渡した。
みんなが眼を白黒させていた。

「会いたかった…」

芳樹が切なそうに
つぶやいた。


「2日だよ・・・」


「俺には一週間だな~」


首筋が見えないか
ドキドキした。


芳樹の背に
素良の視線がつきささる


  芳樹は優しいよ
  素良・・・・・・・


そんな目で見ないで
悲しくなるから


素良が私を好きだと錯覚してしまうから


新しい恋に飛び込んだんだもん
もうよそ見はしない


芳樹の魔法にかけられて
生きていくから・・・
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