~KissHug~

~41~

その涙を私は手で受け止めた。

空から降ってくる
ダイヤモンドの塊に見えた。


「きれい……素良……」

「うっさい……
まじかっこわりー……」

ダイヤを手で
受け止めるたびに
私は母親の気持ちになった。


「素良のせいじゃないわ。
大人には大人にならなきゃ
わからない事情があるのよ。
ずっと傷ついてきたのね。
だから私に甘えたかったんだ。
可哀そうな素良……」

私は立ち膝をして
ブラのないそのままの胸の
柔らかさで
素良の頭を包み込んだ。


「いい子
いい子……素良……大好きだよ……」


素良がこらえていた気持ちが爆発して
泣きだした。

「かあさん、ごめん、」
何度も言った。
素良の心に抱えてる闇
取り除いてあげたい
そう思うくらい
素良は、小さな子供のようになきじゃくった。


私のTシャツは
素良の涙で濡れた。


素良も悩んでいたんだ。

きっと千鶴も


そして
芳樹も・・・
心に闇を持っている・・・・


  芳樹に会って話さなきゃ・・・・


「俺も、歩来って呼ぶから……
いい?」

「ぷくちゃんって気にいってたのに?」

「二人の時以外は
歩来って呼ぶから。」



素良が急に可愛く見えた。



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