~KissHug~
それから気が狂ったように
髪の毛を切りだした



「弱虫だから
死ねない、死ぬことなんてできない」

「当たり前よ!!
おかあさんの死を見てきた人は
そんなことできるわけないよ!!」


芳樹はブツブツ言いながら
髪を切り続ける


「こんなことしか
歩来に見せれない・・・・
情けない・・・・・」

自慢だったヘアーは虎刈りのように
無残な姿になり


芳樹はその場に
座り込んだ。



そして泣き笑いをし出した。



「俺はなんにもない・・・・
ひとりだから・・・・
歩来を傷つけてごめん・・・・
でもさ、最初はそうだったけど
俺は、すぐ歩来を好きになったんだ
こんな気持ち初めてで…
どうしていいのかわかんなくて
いろんな女を抱いては
俺だけのことを愛してくれない
歩来を・・・
やっぱ愛してるって
思い知らされるんだ・・・
俺を…信じられないのわかるけど
今の俺の気持ちは
信じてほしいんだ…
失ったら、ほんとに何にもない
歩来がいないと
前も見れない……」


私はもうこうするしかなかった。


うなだれる芳樹を力いっぱい抱いた。


  ばいばい……
  素良………

心の中で叫んだ。
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