~KissHug~
歪んだ芳樹の心


あんなに純粋でまっすぐだったのに
その影に隠れていた
闇の部分が
今、芳樹を覆ってしまった。


私が惹かれた芳樹を
手探りで探す。

きっとあの芳樹はどこかで
待っているはず。
私の救いの手を・・・・・


今の芳樹の哀れさが
私をしばりつける。


「歩来・・・・?」

芳樹が呼んだ。



「本当のあなたが私を待ってるから
助けてほしいって泣いてるから・・・」



「本当の俺?
あははは・・・・
今のいやな俺が本当の俺だよ。」


私は芳樹の頬を手で挟み
瞳の奥に語りかけた。


「待っててね。
きっとあなたを助けてあげる。
そこで泣いてるんでしょう?
『どうしたらいんだ?』って・・・」


「おまえがいてくれたらいい・・・・」


瞳の奥の芳樹の声だった。
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