~KissHug~
芳樹との待ち合わせ場所は
まさかの『こまどり公園』

私はあの日、千鶴がしていたように
ブランコに腰かけていた。

気持ちがどんよりした。


耳が痛かった。
さわると腫れているのがわかった。

こんなに噛まなくてもいいのに…



芳樹を裏切っているように

耳の痛みがアピールする。


「ぷーちゃん!!」
満面の笑顔で芳樹が駆けてきた。
そしてわたしのブランコに飛び乗って
二人乗りをした。


「ぷーちゃん、何して時間つぶしたの?」

「図書館だよ。
本見てたら一日だっていれる。」

「俺は、三分でアウトだ。」

芳樹は思いっきりこいだ。


「ね、怖いんだけど…」


「なんかさ、ぷーちゃんと空にとけちゃいそう。」


ブランコは限界まで、あがった。

「やめて!!」


目をつぶっても恐怖感が襲ってくる。


「一回転しちゃうかな。」



「とめてよ!!バカ!!」

悲鳴になった。



「ぷーちゃん
俺のこと見てよ。」

「やだ、こわいもん!!」

「俺のことちゃんと見ようとしてないから。」

「どうでもいいから、おろしてよ!!」



「つまんねーの。」


ブランコは少しづつ勢いが消えて行って
静かに止まった。

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