~KissHug~

~21~

「やっぱり好きな人いるんだ。」

「いるよ。
かなり切ないけどね。」

「俺って、どうしてそんな女ばっか
好きになるのかな…」

そう言いながら
私の手に口づけした。

心臓がドキンとした。

素良以外に経験したことのない
ときめきだった。


「俺の心はもう走り出してる。」

「だめだよ。
私は、好きな人がいるもの。
あなたがいやなやつだったら
それもありだったけど、
あなたは思ったよりいいヤツだから
悲しませたくない。」


「じゃ、一緒だと思って。
俺は、千鶴も愛してるから…」


  また、千鶴
  あの女にはまったく恨みしかもてない

「やよ。私だけ愛してくれないと…」


「あははは~」
芳樹は大笑いした。


「なんだよ、ずるいな~
それは、ないだろ。」


「私の好きな人は、
他に好きな人がいてね、
私の気持ちは知らないし、
知られちゃいけないの。
彼と私の間にも糸が複雑に絡み合っているから
その糸をほどくのは
とっても大変。
そこに、彼からの愛はないけど
彼とKissしたり
彼とHugして、切ない思いより
幸せが勝ってしまうから
彼とはなれることはできないわ。」


「その人は、ぷーちゃんの全部を知ってるの?」

「まったく知らないと思う。
知りたくない、面倒だから
それもあり?
ただ、ぎゅっとしてもらって
キスするだけ
それだけでいいの。」


素良を想い
星空を見上げた。


「俺を見て、ぷーちゃん。」



芳樹がぎゅっと私を抱きしめた。
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