あなたの可愛いおへそのくぼみ
「ユージン」こと滝本宥仁と、英田末莉の歴史は長い。
家同士がお隣で、幼稚園のころから一緒に過ごした仲だ。幼いころは男女の別なく一番の遊び相手だったし、思春期になると宥仁は末莉の恋する相手になった。
宥仁は容姿だけでなく頭も良かった。一緒にいられたのは小学校までだ。彼は中学受験のあと進学校にすすみ、都会の難関大学に合格してからずっと家を出ていた。
一方の末莉はイラストやデザインなど専門の道に進むことを選んだ。高校卒業後は専門学校を選び、今は実家から通えるグラフィックデザインの事務所に勤めている。
『ユージン、遠い世界の人になっちゃったな……』
大学卒業後、ユージンは東京の大企業に就職した。そう母親から聞いたとき、末莉はぽつりとひと言、寂しい気持ちを漏らしたのを覚えている。
彼が地元に帰ってくることはもう無いだろう。
宥仁がいなくなってから、彼を忘れられなかった末莉にも恋人ができた。それから何人かと付き合い別れて、末莉は大人になった。
淡い初恋を諦めてから時が過ぎーーーこの日末莉と宥仁は思わぬ再会を果たすことになる。
「全然変わってないな」
「そんなことはないでしょ。もうゲーム機も無いし、インテリアだってこだわってるんだから」
「いや部屋じゃなくて、末莉が」
「ええ?」
何故かあの後、宥仁は末莉の部屋に上がり込んで来ていた。
「久しぶりに末莉の部屋行っていい?」と聞かれ、現在彼氏のいない末莉には断る理由は無かった。
「変わったに決まってるじゃん。25だよ?綺麗になったね、とか言えないの?」
「綺麗も何も。末莉は末莉のままだけど」
「何それ?!」
これでも美容には一応気を使っているし、年相応の大人っぽい服も着ているはずだ。末莉は口をとがらせた。
(ユージンは格好良くなったよ……悔しいけど)
過ぎた初恋を忍ぶように、大人の良い男になった幼馴染みを見つめる。
「はぁ。ほんと懐かしいよ」
「ちょっと!ユージン?」
そう言って宥仁は、いきなり末莉のベッドにぼす、と寝転んでしまった。シーツを最後に洗ったのはこないだの休みだったか。自分の汗の匂いを嗅がれたら……と、慌てて末莉は宥仁をひっぱり起こそうとした。