あなたの可愛いおへそのくぼみ

「そ、そういえば今日。おばさんは?」
「父さんの病院行ってる。朝は俺が付き添ってたんだけど、交代した」
「……おじさん大丈夫そう?」
「手術してみないと分からないって。今のとこ五分五分かな」
「そっか……上手くいくと良いね、本当に」

 末莉も数日前、母親から滝本家の話を聞いていた。宥仁が実家に帰ってきたのは彼の父親が倒れたからだ。どうやら脳の血管の病気らしい。一命は取り留めたが、予断は許さない状況だった。

「末莉のお母さんにずいぶん助けられた、って。うちの母さん言ってた」
「力になれて良かった。ママすごく心配してたからね」

 英田家と滝本家は母親同士も仲が良い。末莉の母親の励ましがかなり精神的に力になったようだった。

「ユージンはいつまでこっちにいるの?」
「とりあえず来週末まで。休み一週間とったから」
「そう」

 東京で就職してからは忙しく、ほとんど帰省することのなかった宥仁だ。ゆっくり帰れたのがこんな機会だったのは気の毒に思った。

「末莉は土日休みだろ。平日の予定は?」
「仕事は18時まで。今繁忙期じゃないから残業はほとんどないかな」
「じゃあまた夕飯とか食べに行こう。連絡する」
「えっ?う、うん……!」

 宥仁はむくりと起き上がり、部屋をすたすたと出ていった。残された末莉はぽかんとその場に立ちすくんでいたが、はっと気がつき、見送りのため宥仁の後を追いかける。

(どうしたんだろう、ユージン。お父さんが心配なのは分かるけど……夕飯なんて今まで誘われたことなかったのに!)

 末莉は戸惑いながらも、はじめての宥仁の申し出に気持ちを浮き立たせてしまった。


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