あなたの可愛いおへそのくぼみ
壁に掛けた時計の、ちくちくという針の音が部屋に響く。
「ユージン?」
たっぷり数分待っただろうか。末莉はだんだんと冷静になってきた。
自分を離してくれない幼馴染みの顔をのぞき込むが、さっきとは打ってかわって目を合わせようとしない。
「ユージン。何なの?話してみなよ」
「いや。やっぱりいい……何でもない」
「何でもなくはないでしょ」
宥仁のこういう所は全く変わっていない。末莉は懐かしさすら覚えた。
努力家で、慎重派で、ちょっと怖がりだった小さいころの宥仁。大人になった今でも、彼はまだ宥仁の中に存在している。
末莉に告げようとしている事は、彼にとってきっと一大事のことなのだろう。
だが末莉も手首を掴まれ、意味深な視線を向けられて気持ちがぐちゃぐちゃだ。こんなに自分を乱す幼馴染みには責任を取ってもらいたい。
「分かった。もうちょっと待つ。その代わりユージン、おへそ見せて!」
「はあ???」
宥仁の素っ頓狂な声が部屋に響いた。
「へそって何!?……あー、末莉そういえば……。好きだったもんな、人のへそ触るの」
「ちょっと!人聞きの悪いこと言わないで」
「隙あらばゲームしてる俺のへそを狙ってきてさ……変態」
「狙ってないよ!ユージンがゲームに熱中して熱いからって、Tシャツめくってたのがいけないんでしょ!」
「だからってそんなとこ触るか?普通」
「うっ……」
普通ではないことは重々承知している。末莉は唇を噛んだ。せっかくのチャンスだったのに、と悔しさを滲ませたその瞬間だ。
「まあ別に良いよ……へそくらい。ほら」
宥仁がそう言って、おもむろにTシャツをぺらっとめくった。そこから見えたのは、ほどよく鍛えられた腹筋の中にある大人になった彼のおへそだ。