【二度目の恋は、突然に】片山聖ハイスペ総務部長が推す相手は、削り節の香り
裕太の覚悟
裕太が恵那と手をつないで向かった先は、陽光煌めく海を望むアウトレットモール内の大人可愛い服が並ぶブランドショップだった。
「これこれ。恵那に似合うと思って」
裕太は、二種類の透け感のある生地を重ねたカーディガンを、ハンガーごとラックから外して恵那に見せた。薄水色の生地の上に、同系色のリボンがふんだんに縫い止められた生地が重ねられ、遠目には咲き誇る紫陽花のようにも見える。
「オートクチュールです」と言っても信じて貰えそうなほど凝ったデザインで、適当にそこいらで買ってきた服で平気な恵那は、目を見開くばかり。だが、強く勧められるままに羽織ってみると、意外や意外、しっくりと合った。
「わあ!」
目を輝かせ、鏡の前で何度も映りを確認する恵那に、裕太も満足そうだ。
「こういう普段着の上に重ねるだけで特別感が出る服、いいだろ?ちょっとしたパーティーにも着ていけそうで。下が紺でも、合うと思うよ」
さすが営業、勧めるのが上手い。
その気になって値札に目を走らせる。恵那は、仰天した。
カーデにしては、ゼロが多いのでは・・・・・・。
固まってしまった恵那を見て、裕太が、別の服を勧めた。
「じゃ、これは?これもいいなと思ったけど、記念にならない気がしてさ」
「記念?」
「恵那の誕生記念」
「何ですか、それ?」
言いながら、服を胸に当ててみる。今度の服は、光沢のある白のファンシーヤーンに、水鳥の羽に見立てた透け感のある布が連なったリボンを編み込んだ、ざっくりとしたカーディガン。
可愛らしいデザインだが、前あきが深いV字で、下に着る服によっては、大人っぽい着こなしも楽しめる。
これも、驚くほど、恵那に合った。一緒に鏡をのぞき込む裕太も、満足そうだ。
「これもいいな。よくあるカーデだから、どうかと思ったけど」
「でも、こちらの方が、着る機会が多そうです」
「そう?じゃ、これにしよう」
裕太は、店員に合図した。
少し離れたところで、二人の様子を見守っていた店員が、にこやかな笑みを浮かべて寄ってくる。
「こちらは、展示品限りですので、30%引きになります。その代わり、返品できません」
値札に目を走らせた恵那は、素早く頭の中で計算した。
「じゃ、これにします」
即決した恵那に対し、裕太は納得がいかない様子だった。
「じゃ、これに合わせて小物を何か」と言って、店員に勧められるまま、先のカーディガンに似た紫陽花っぽい色合いのミニスカーフと、白いリボンにイミテーションパールをあしらった髪留めを選ぶ。
「恵那が好きなものを身につけるのが一番だとは思うけど、俺の『好き』も身につけて欲しくて」
そう言って、はにかみ笑いを浮かべた裕太。
その姿に、きゅん、ときた恵那は、裕太の腕に甘えるように抱きついた。
そのあとは、カフェで遅いランチをしたり、海岸で打ち寄せる波と戯れたり。
日が傾き「そろそろ帰ろう」と裕太が声をかけたときには、デートを満喫した恵那の心は、緩みきっていた。
往路と違って、帰路は、道が混んでいた。
道の混み具合を示すカーナビ表示を見た裕太は、「渋滞に巻き込まれて身動き取れなくなったら嫌だから、休憩していこう」と言って、車を脇道に進めた。
その行動を深く気に留めなかった恵那だったが、その先にラブホテルの看板を見つけたとき、思わず息を飲んだ。
イマカラスルノデスカ?
恵那の心を見透かしたように、裕太が言う。
「カラオケやゲーム機が備え付けてある部屋があるって。それで時間を潰そう」
ホッと胸をなでおろす恵那を横目に、裕太は、車をホテルへ乗り入れる。断る術を知らない恵那は、彼に付いていくしかなかった。
「これこれ。恵那に似合うと思って」
裕太は、二種類の透け感のある生地を重ねたカーディガンを、ハンガーごとラックから外して恵那に見せた。薄水色の生地の上に、同系色のリボンがふんだんに縫い止められた生地が重ねられ、遠目には咲き誇る紫陽花のようにも見える。
「オートクチュールです」と言っても信じて貰えそうなほど凝ったデザインで、適当にそこいらで買ってきた服で平気な恵那は、目を見開くばかり。だが、強く勧められるままに羽織ってみると、意外や意外、しっくりと合った。
「わあ!」
目を輝かせ、鏡の前で何度も映りを確認する恵那に、裕太も満足そうだ。
「こういう普段着の上に重ねるだけで特別感が出る服、いいだろ?ちょっとしたパーティーにも着ていけそうで。下が紺でも、合うと思うよ」
さすが営業、勧めるのが上手い。
その気になって値札に目を走らせる。恵那は、仰天した。
カーデにしては、ゼロが多いのでは・・・・・・。
固まってしまった恵那を見て、裕太が、別の服を勧めた。
「じゃ、これは?これもいいなと思ったけど、記念にならない気がしてさ」
「記念?」
「恵那の誕生記念」
「何ですか、それ?」
言いながら、服を胸に当ててみる。今度の服は、光沢のある白のファンシーヤーンに、水鳥の羽に見立てた透け感のある布が連なったリボンを編み込んだ、ざっくりとしたカーディガン。
可愛らしいデザインだが、前あきが深いV字で、下に着る服によっては、大人っぽい着こなしも楽しめる。
これも、驚くほど、恵那に合った。一緒に鏡をのぞき込む裕太も、満足そうだ。
「これもいいな。よくあるカーデだから、どうかと思ったけど」
「でも、こちらの方が、着る機会が多そうです」
「そう?じゃ、これにしよう」
裕太は、店員に合図した。
少し離れたところで、二人の様子を見守っていた店員が、にこやかな笑みを浮かべて寄ってくる。
「こちらは、展示品限りですので、30%引きになります。その代わり、返品できません」
値札に目を走らせた恵那は、素早く頭の中で計算した。
「じゃ、これにします」
即決した恵那に対し、裕太は納得がいかない様子だった。
「じゃ、これに合わせて小物を何か」と言って、店員に勧められるまま、先のカーディガンに似た紫陽花っぽい色合いのミニスカーフと、白いリボンにイミテーションパールをあしらった髪留めを選ぶ。
「恵那が好きなものを身につけるのが一番だとは思うけど、俺の『好き』も身につけて欲しくて」
そう言って、はにかみ笑いを浮かべた裕太。
その姿に、きゅん、ときた恵那は、裕太の腕に甘えるように抱きついた。
そのあとは、カフェで遅いランチをしたり、海岸で打ち寄せる波と戯れたり。
日が傾き「そろそろ帰ろう」と裕太が声をかけたときには、デートを満喫した恵那の心は、緩みきっていた。
往路と違って、帰路は、道が混んでいた。
道の混み具合を示すカーナビ表示を見た裕太は、「渋滞に巻き込まれて身動き取れなくなったら嫌だから、休憩していこう」と言って、車を脇道に進めた。
その行動を深く気に留めなかった恵那だったが、その先にラブホテルの看板を見つけたとき、思わず息を飲んだ。
イマカラスルノデスカ?
恵那の心を見透かしたように、裕太が言う。
「カラオケやゲーム機が備え付けてある部屋があるって。それで時間を潰そう」
ホッと胸をなでおろす恵那を横目に、裕太は、車をホテルへ乗り入れる。断る術を知らない恵那は、彼に付いていくしかなかった。